神戸といえば名の知れたベーカリーショップが沢山あり、パンの激戦区で切磋琢磨されたお店のハイレベルなパンを食べることができる。
そんな沢山のパン屋さんがある中で別格のお店が1件ある。そのお店はパンの味はもちろんの事、経験・歴史ともに他とは違うのが、神戸の岡本にある「フロイン堂」という歴史あるパン屋さんです。
このフロイン堂のパンのことをすべて語るためには、まずお店についての歴史から知る必要がる。ごく普通のベーカリーショップではなく長年の年輪がパンの味にしみ込んでいるため、本記事では「フロイン堂の歴史~美味しいパンの紹介」までを解説していきたいと思います。
1. 愛され続けるフロイン堂
出典:神戸を代表するベーカリー「フロイン堂」の愛されるパンを求めて… – Feel KOBE 神戸公式観光サイト
神戸市東灘区の岡本にあるフロイン堂は、阪急電車の岡本駅が最寄り駅で下車して西へ1分足らず歩いた場所にある。JR摂津本山駅からも約10分程度で行くことが出来る場所にある。
歩いていると少し古ぼけたノスタルジックな建物が見えてくるが、それが「フロイン堂」です。まさにその場所だけが昭和感タップリの雰囲気をかもし出していて、まるで昭和の駄菓子屋さんにでも入る様な感覚になるでしょう。
流行には決して流されることはなく、戦争も震災も潜りめけて独自のパン作りを徹底して貫いており、今も変わらず絶大な人気を誇るのが、このフロイン堂なのだ。
2. 戦争と震災を乗り越えた奇跡の窯
フロイン堂のはじまりは、1932年(昭和7年)日本にドイツパンを広めたといわれているハリー・フロインドリーブさんと結婚した従姉妹のヨネさんが始まりで、その後にフロインドリーブから「のれん分け」の形でフロイン堂を創業、それがお店の歴史のはじまりだそうです。
出典:神戸を代表するベーカリー「フロイン堂」の愛されるパンを求めて… – Feel KOBE 神戸公式観光サイト
現在のオーナーは2台目の竹内善之さんで御年88歳となるのですが元気に仕事をこなしており、3代目の隆さんと共に毎日美味しいパンを焼きあげている。
フロイン堂ではドイツ製のレンガ釜が、なんと戦時中から活躍を続けているドイツ製の窯で、戦争でしばらく使えない時期もあったとのことです。
他のパン屋さんではまずお目にかかれない窯は、10年ほど前までは薪を使って火を入れていたのだそうです。2代目いわく、薪には松が一番いいそうで松ヤニのおかげでパンを焼き上げる熱量にピッタリらしい。ただ、その松もだんだんと手に入らなくなり、クヌギを使う様になったが、今はそのクヌギも手に入らなくなり、それでガスに変えたという。これも時代の流れで仕方がないのだろうか・・・
戦争も阪神・淡路大震災も免れた自慢の窯は、戦時中に窯の中に貴重品を入れて守ったりもしていたらしい。
そんなレンガ窯で何十年もパンを焼き続けた現在でも、焼き加減は試行錯誤を続けていると2代目は言う。
3. レンガ窯で焼き上げる食パン
フロイン堂の一番人気の商品はなんといっても焼きたての食パンだ。この食パンを求めて遠くは九州から買いに訪れる人もいるという。
出典:神戸を代表するベーカリー「フロイン堂」の愛されるパンを求めて… – Feel KOBE 神戸公式観光サイト
完全手作業でのパン作りのために1日に作れる量が多くはないので、早い時間に完売となる事も珍しくない。オープンと同時に予約の電話が鳴りやまず、作ったパンはあっという間に売約に。(当日のみの予約を受け付けています)
4. 素朴で美味しいパンが魅力
食パンの他にも大人気のパンは用意されていて、どれも2代目のこだわりが込められたものばかりで、ベーコンエピ・くるみパン・田舎パン・ライ麦パン・バゲット・カンパーニュなど、主にハード系が中心になっている様です。
左が麦の穂をイメージした「ベーコンエピ」で右が香ばしいくるみがポイントの「くるみ」のパン。
ドイツ窯のレンガに保たれた熱がじんわりとパン生地を焼き上げて、絶妙な味と食感が生まれてくるそうな。
左がくるみとレーズンがたっぷり入った「田舎パン」で、右がシンプルだけど奥深い味の「カンパーニュ」。
5. パンを買いに行く時間帯が大切
パンは全部で12種類あり、作る順番があるので購入したいパンにあわせて訪れた方が手に入れることができる確率が高いので参考にしてほしい。
5-1. 11時半ごろからハード系のパン
この頃の時間から先に紹介した「ベーコンエピ」~「カンパーニュ」などのハード系パンが次々とお店に並んでいく。
食パン生地を派生させた「ベーコンエピ」は生地にベーコンと黒胡椒を入れて麦の穂の形に成形したもの、「くるみパン」は食パン生地にたっぷりのくるみを混ぜ込んで。
「田舎パン」は、ライ麦を10%配合した生地にクルミとレーズンがぎっしり入ったずっしりパン。天然酵母で作る「バゲット」や「カンパーニュ」は、生地のおいしさを存分に噛み締めたい味わい深さで人気です。
これらのハード系は3代目の隆さんが考案したものが多いという。
5-2. 食パンの焼き上がりは14時と16時の2回
午前のパンが焼き上がり、休む間もなく次は午後の食パンに取り掛かる。
14時になって焼き上がって出てきた食パンは、型から取り出して山の部分にバターを塗ったら厨房から店の棚へ並べられる。できたてのパンとバターの香りが素晴らしくて一度食べると病み付きになってしまう。
出典:“奇跡の窯”と職人技が生み出す、ベーカリー「フロイン堂」の人気パン<神戸パン巡り②>|るるぶ&more.
フロイン堂のパンは常に進化を続けているので、「明日はもっとおいしくなっている!」と期待に胸が膨らみますね。
6. まとめ
2代目善之さんは、パン作りのレジェンドと言っても過言ではない存在です。特に全身を使っての手ごねは骨のいる作業ですが、善之さんは88歳の今も毎日行っているそうです。
善之さんは、「パン作りに100点はないと思います。また明日、今日よりも美味しいパンができると思って、パン作りを続けたい」と、まだまだ美味しいパンを作り続けてくれるから有難い。
「パン作りは私にとってラジオ体操みたいなもの。毎日かかさずやり続けるんです」
<フロイン堂の情報>
住 所:兵庫県神戸市東灘区岡本1-11-23
電 話:078-411-6686
営業時間:9:00--18:00 第1,3水曜、日祝休日
(朝9:00より、当日分のみの予約をお受け可能です)